沖縄で食べたヤギ汁

私には好き嫌いがほとんどありません。どんなものでも美味しく食べることができます。
ところが、そんな私を苦しめる料理と沖縄で出会うことになります。今から15年ほど前、私は知人と2人で沖縄旅行にいきました。綺麗な海で遊び、那覇市内を観光、様々な沖縄の料理も楽しみました。ゴーヤチャンプルに沖縄そば、豚足や豆腐よう、いろいろなものを食べました。どの料理もとても美味しいものでした。
旅行も後半に差し掛かった時だったと思います。夜、空腹となった私たちは目に留まった食堂に入りました。
その食堂は観光客よりも地元の方がよく利用する食堂のようでした。お店のメニューを見るとヤギ汁の文字があります。私たちはこのヤギ汁を迷うことなく注文しました。
お店の方は私たちが観光客であることに気づいているようで、いろいろと話しかけてきます。そして、ヤギ汁はおすすめしないとの助言もされました。しかし、そのように言われるとますます引き下がるわけにはいきませんでした。
しばらくして、テーブルにヤギ汁が運ばれてきました。透き通ったスープの中に大きなヤギ肉の塊がたくさん入っています。
匂いはともかく、見た目はよだれが出るほど美味しそうです。空腹の私たちは期待を裏切らないその美味しそうな見た目に喜び勇み、ヤギ肉を口に放り込みました。
もぐもぐとヤギ肉を噛みしめます。そして、友人とほぼ同時に顔を見合わせました。
友人の顔は心なしか歪んでいるように見えます。そして恐らく友人も私の歪んだ顔を目にしたに違いありません。店員を見ると、私たちをにやにやと見ています。
「ぐえぇぇぇ~」、口いっぱいに広がる臭いにヤギ肉を吐き出したい衝動に駆られます。しかし、お店に人に申し訳ないのでそんなことはできません。
スープをすすって肉を胃袋に流し込もうと器に口をつけすすります。その瞬間、まるで口のなかは畜舎のような香りに包まれます。
畜舎の香りを口いっぱいに含み、飲み込むことも吐き出すこともできず、絶え間なくもぐもぐと咀嚼するしかすべはありませんでした。
そんな私たちをにやにやして見ていた店員さんは、やがてゲラゲラと手をたたいて笑う始末、よほど酷い食べっぷりだったのでしょう。
なんとか水で肉と畜舎の香りを胃袋に流し込み、続けて数口食べましたが結局1割も食べれずにギブアップしてしまいました。
この時はヤギ汁に完敗しましたが、また沖縄に行く機会があったら再挑戦をしたいと今は思っています。